トラムは走る広告塔 ときどき 走る美術品 sanpo

香港島の西端と東端、そして、銅鑼灣からは短距離ながら南へも走るトラム。
里帰りするたびに「そうそう、今はどんなデザインだろう?」と楽しみにするのが、
トラムの車体を覆い尽くすラッピングです。

ずっと以前は、広告なんて何もなかった車体。
車体に広告を載せるアイデアが出た時って、きっと大きな出来事だったんでしょうね。

手元にわずかに残る写真には、
今のように全面ラッピングではなくて、部分的に広告を載せ始めた姿があります。
なんだか、こう、プラモデルにシールを貼ったみたいなぎこちなさ、というか、初々しさ。
それが2枚目の写真 ( ↓ ) のように全面ラッピングと同居する過渡期があって、
現在のように、様々な企業が好んで広告主になり、デザインを競い合うような時代に。



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トラムは走る広告塔。

広告を載せた乗り物だったら、路線バスも 空港バスも ミニバスも タクシーも 浮かびます。
だけど、トラム以外は どれもけっこうな速さで走ることが多いんですよね。

ミニバスやタクシーなんて、あっという間にピューッと走り抜ける。
「あ、どんなプリント?」と見ようとした時には、もうすでに よく見えない場所にいる。

路線バスや空港バスなら車体が大きいぶんだけ広告も目に付くし、
速さもミニバスやタクシーほどじゃない。
でも、
全面を覆うトラムよりは部分的な広告ですから、比べれば今ひとつパンチに欠けます。
パンチって・・・(笑)・・・でもね、広告って「見られてナンボ」「楽しめてナンボ」ですからねぇ。

トラムは 前後の面と左右側面のすべてで見せて(魅せて)くれるし、
バスより停留所までが近いこととスピードが無いぶんだけ、余裕で見ていられます。
広告主の企業によって台数が違うけれど、同じラッピングで複数台走ってることが多いし、
バスよりも限られた短区間で走っている から、
そのぶん、気になったラッピングを目にする確率も上がります。



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流し撮りで 身体を左右に振りながらカメラを向けてる小学生男子、
ブレずに撮れた数少ない写真を見ていると、あることに気付きました。
「あ、写真じゃなくて肉眼でも、きっとこうやって走るトラムを見てるんやろうなぁ。」 と。 ( ↑ )
写真だと流し撮りで撮ったプリントが手元に残るけど、
手元にプリントとして残せない肉眼でも、じつはその瞬間は同じことをしてるんだな・・・と。

路線のいろんな場所で気になるラッピングを見つけた時って、
その場所のトラムの背景がどんなに賑わっていようと どんな色の建物があろうと、
きっと、眼はトラムだけに焦点を当てて追ってるような気がするんです。
カメラを構えた時だけじゃなくて、無意識で肉眼でも流し撮りをしてるんだろうな。
脳内流し撮り。

おもしろいもんですよねぇ。
頭の中では、ちゃ~んと背景全部がブレていて、トラムだけがくっきり見えてるんだろうな。
誰もが きっとそうなっているんだろうと思います。
ふだんの日常生活でも、動く物を眼で追う時って その状態になってるんじゃないかな。



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今回の訪港でも、滞在中に “ お気に入りラッピング ” を決めていました。

そう、「決めていた」っていう感じ。
滞在するたびにその期間中のトラムのラッピングデザインを順位付けするヒマな自分。
どういう基準なのかは自分ながらもよく分からないけど、
銀行系 ・ 金融系 でなければ、順位付けに入ります。
銀行金融系って例外なく地味なので、あの渋さを味わうには まだ至っていません(笑)。

で、今回もっとも気に入っちゃった BEST1 が、こちら。



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目にするたびに、おぉぉぉぉーっ と気になって気になって。
配色もイラストの細やかさも、自分には もう アート作品として目に入りました。
こうなると、トラムは “ 走る広告塔 ” よりも、 “ 走る美術品 ” になるわけで。

美術品らしく、さすが サザビーズ。
もう、このトラムそのものを オークションに出すといいんじゃない?(笑)
シノワズリなデザインは味わい深く、香港にピッタリでした。

細部まで見惚れていると、いくらトラムとはいえ走り去ってしまうので、
見かけることが出来た時に 全力でガン見してる小学生男子。
「うへぇ~。。。すげ~な~。。。」って見させてもらって、続きはまた遭遇した時にね、、、と。

次点として気になってたのが、色で目を引いた2台でした。
タータンチェックのはニューヨークなんだけど、やっぱりイギリスがらみで気になったし、
グリーンラインの方のは、なんだかキリリとクールで鮮烈なところが気になったし。
うん、これ、スイカっぽさも良いね。
スイカ大好きやから。・・・・・・呆。



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そんなこんなでラッピングを楽しんでるものですから、
トラム沿線の歩道を歩いている時は目と頭がフル回転しています。
訪港中に限っては、鉄ちゃんかも(笑)。

素敵な色とデザインのラッピング広告を纏ったトラムたちが行き来する香港島。
でも、
沿線には それぞれ特色の違った街が並んでいるので、
ときどきトラムと一体になって【脳内流し撮り】になってる被写体も登場します。
配達人のおじちゃんやお兄ちゃんが横に並んでいてくれるからこそ、香港トラム。
トラムが走る国は少ないと思うけど、
トラムと、お仕事する方々の姿とが これほどしっくり馴染む国は さらに少ないような?
ラッピングデザインに惹かれると同時に、こういう光景も愛しく思えてしかたがありません。



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どこか行きたい場所があって停留所で待ってると、
待っている時に限って、その行き先の車両がなかなかやって来ないトラム。
そうかと思えば、
行きたい場所行きの車両が1度にドドドドッと数珠つなぎでやって来るトラム。

本当に気まぐれさんですから、
逢いたいラッピングがあるとそれも同じで、
待ってる時や想う時には、なかなか目の前に登場してくれません。
けっこうじらされます。
「まったく、もう、じらすよねぇぇぇぇ。」
なんて思いながら待っていて、やってきた時は特別な瞬間です(笑)。
ただ、
そういう時に限って、
大きなバスが走って来てトラムと自分の間に立ちはだかるんですよね。。。
美術品だから、手が届くようで なかなか届かないのが 良いのかな?

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Commented by 爽子 at 2016-03-18 13:29 x
トラムを利用する機会が少ないので気付きませんでしたが、ホント色々なラッピングがあるんですね〜(゚o゚)!
銅羅湾とかで無意識に色々な広告を見かけてるんだろうなぁ..。
Commented by leslie339 at 2016-03-18 20:45
こえださん
まるでトラム博物館の様ですね~凄く素敵です。
本当に一時、広告がほとんど無い時期がありましたよね、トラムの広告代は他の乗り物に比べて一番高いそうです、何故ならば、ゆっくりと走るからだそうです、トラムで香港の経済状態が判るんですね今は好景気なんですね最近、怪しくなってきていますが。。。
Commented by Jyujai at 2016-03-19 19:29 x
トラムの広告、時代を反映してるんですね。確かに、行った年によって傾向があるような気がします。私も過去の振り返ってみようと思います。
それにしても、トラムの流し撮り写真、かっこいいですねえ〜。
Commented by hongkonggaffe at 2016-03-21 05:57
♫ 爽子さん
同じ物に2度は出会わないので、滞在してる時にお気に入りが登場すると遭遇するのが貴重なチャンスになるんです。もちろんどんどん入れ替わるデザインを楽しむことは出来ないから、日本に居る間に誰かのブログでクールなのを見かけると残念だったり。120号のように、ずっと不変なスタンダードだとそんな心配はないのですけどね(笑)。今回載せたサザビーズのなんて、契約期間が終わって車体から剥がしたらもらえれば良いのになぁと思うくらい。部屋に貼ってみたいです(あほ)。
Commented by hongkonggaffe at 2016-03-21 06:02
♫ 花襲人さん
頂いたコメで思い出したんですけれど、何年も前までは日本企業のラッピング広告がかなりの数を占めていましたよね。出前一丁シリーズはもとより、味の素や日立や観光地の柄や文字。香港にまで来てこういうのを目にするのは抵抗がありましたが、今みたいに日本ものが消えちゃっていると、ときどき見かけた時に懐かしくなります(嬉しさは別に無い:笑)。速度に比例するだろうから高額設定なのかな?と勘繰っていましたが、そうなんですね?貼られてる期間も契約料次第なのかなぁ?
Commented by hongkonggaffe at 2016-03-21 06:13
♫ Jyujaiさん
流し撮り、本当に難しいですねぇ。数多く撮ってみても動きと車両とがピタッと合わないからどこかがブレる。トラムは横長なので、例えば中央部分に上手くピントがあっても、どうしても端の方はボケますし。まぁそれはそれで味があると諦めてます。車体や線路が右上がりか右下がりかでカメラを傾ける角度が違うから、撮りたい傾き(あるいは傾き無し)を考えて振るのもややこしくて。で、コツをつかんだと思って1日経つと忘れてる。「あー疲れた。あほらし。」と我にかえる鉄ちゃんなんです。
Commented by ころた at 2016-03-21 08:06 x
ラッピングバスにラッピングトラム
どっちも今はおしゃれになっちゃいましたね。
これもそれぞれ時代を映し出しているのですよね。
香港の経済そのものであったり
国ごとの経済であったり。
10年後はどうなっているのかな…
Commented by statusgraphite at 2016-03-25 09:13
10年後ですか~(横レス失礼)平和な心で過ごせていますように。世界が平和でありますように。(厨二度高い?(笑)
Commented by silentmiaow at 2016-03-25 11:25 x
こえださん、
ええっ、本当に西瓜なトラムがあったらもう写真撮りまくり、一日それに乗って過ごしたい・・・・。

トラムは窓も全開でほかの車両や歩道からの距離も近いから、うっかり目が合っちゃうことも多いですよね。私が(おそらく)初めて触れた香港についての本「香港は路の上」のカバー写真、トラムからぼんやりこちらを見ている白人男性。今でもどこかで会ったら識別できそうな気がします(あっ、さすがにお年だろうからそんなことはないか・・・)
Commented by hongkonggaffe at 2016-03-26 14:05
♫ ころたさん
ころたさんと香港ダブルデッカーバスの話題になると、なぜか自然に中巴の車体を思い出します。チャイナモーターバスでしたっけ?淡いクリーム色と、これまた絶妙な柔らかさを醸し出す水色での2色の車体。あれ(あの頃)って、中巴の車体には広告はありましたっけ?ラッピング広告なんてまだ無かったうちに中巴は消えてしまったのでしたっけ?こんな記憶一つすら僕の中で消えて行っちゃってるんだなぁ。中巴には広告は似合わないような気がしません?あの優しいまんまがいいなぁ、、、と。
Commented by hongkonggaffe at 2016-03-26 14:13
♫ statusgraphiteさん
10年って長いようでいて、きっとあっという間に経つんでしょうね。10年前はどんなふうだったんだろう?と、2006年のメモをちょっと見てみました。何度も書いているからご存知かもしれませんが、滞在すると毎回自分宛てにポストカードを送って、訪問先や食事や物価などのメモを書いてきてて。で、10年前はちょうど現在と同じ為替状態だったので比べやすかったです。今の物価はほぼ2倍前後に上がってました。経済事情はいいとしても政情や安心感は安定しているといいですよね。替えがたい物。
Commented by hongkonggaffe at 2016-03-26 14:32
♫ silentmiaowさん
僕なんかとじゃ比べられないほど想いのレベルが濃くてらっしゃるsilentmiaowさんの前では、スイカトラムを安易に語れません(笑)。ただ、silentmiaowさんにはこのスナップをぜひ1度見ていただけたら嬉しいなぁと思ってUPしたのはホントです。内装は赤にして欲しいですね。・・・目的の北角行きが連続3台やって来て、滞在当時に1番好きだったラッピングの1台に乗れたことが。乗ってすぐ「あ、乗ってたら自分にゃ何も見えんやん」と気付き。こういう場合せめて前後の車両に乗るべきだと学んだ内緒の過去があります。
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by hongkonggaffe | 2016-03-16 18:35 | 香港のりもの | Comments(12)

「暮らすように滞在していたい」 と思いながら里帰りする香港の日々。


by こえだ