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里帰りから戻る時は 新聞に遊んでもらう

香港へと里帰りをしに行く機内では、「もうすぐもうすぐ。いま行くよ~。」と満面の笑顔。
飛行モニター観察 やら 機内食後のお遊び ( こちら ) やら で、
あっというまに4時間半が経ちます。
それとは対照的に、
香港から日本へと戻って来る機内では、「・・・。・・・。・・・。」と、浮かばない顔(だろうな)。
しかたがないから、何か遊べるものはないか? ということで、
機内へ入るすぐ手前で 香港の新聞を取って搭乗します。
日本の新聞は、要らないからパス。
あくまでも、香港の新聞。

漢字の新聞、大好き(笑)。
最後の最後まで異国を味わわせてくれるのは、新聞です。
ボーディングブリッジを歩いて機内に入る直前、ワゴンの上に新聞が置いてありますよね。
これが唯一の遊び道具。
日本への直行便ではもちろん、台北乗りかえの経由便でも、
日本語の新聞でなければ、ほぼ100%の確率で手に入ります。



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登場前のゲートで「お待たせしましたー。搭乗開始しまーす。」のアナウンスがあると、
あっという間に乗客の列が出来ますが、ウチは列に並ぶのが遅い。
「えぇ~。。。乗るの~。。。乗っちゃうの~。。。ヤメようよ~。。。欠航にしようよ~。。。」
僕がブツブツ言いながら嫌々並ぶので、重い腰を上げるのは列が長~くなってから。
太太は僕と違ってスパッと気持ちが切り換えられる爽やかな人(笑)なのですが、
小学生男子はウダウダしてるので、太太の足を引っ張る。。。

そんなことしてるから、
新聞ワゴンまで歩いてきた時には、もらって行ける日本の新聞は ほぼ残っていません。
だけど二人とも日本以外の新聞を期待しているから、困らない。
“ 新聞遊び ” をしながら日本へ戻るウチとしては、
じゅうぶん ありがたい状態になっているわけです。
困らないから早く並ぶ必要がないために、毎回ウダウダのまま成長しないんですけど。。。



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どこの国のどの新聞がワゴンに残っているかは、直行便と経由便でやや傾向が違います。

日本への直行便なら、帰国する日本人搭乗率が一番多いわけだから、
朝日 ・ 読売 など、日本語の新聞は まっ先に無くなりますよね。
そのかわり、
東方日報 ・ 星島日報 ・ 蘋果日報 ・ 南華早報 などの香港の新聞が、
けっこう手つかずのままで残ってます。
これが、ありがたい(笑)。
“ 新聞遊び ” をして過ごすウチとしては、困らないパターン。

一方、何度か使う台北経由便なら、当然 搭乗率が高いのは台湾人や香港人。
台湾と香港の新聞は置いてあっても、日本の新聞は まったくお目にかかりません。
しかも、香港から台北なんて1時間半ほどの飛行でしかないので、
新聞を読もうとする人が少なめのような気がします。
短い飛行時間の中で 軽食を食べる時間が差し引かれることを皆さん知っているし、
旅行や仕事で飛ぶ人は それぞれ必要なことをするだろうし。
短時間でも機内で新聞を読むつもりの人は あらかじめ自分で買ってきて乗るので、
ウチのような呑気なヒマ人さんは少ないとみえて、“ 遊び道具 ” は かなり残ってます。



( ↓ 直行便の、日本新聞あり。 )
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( ↓ 経由便の、日本新聞なし。 )
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国が違えば、新聞も色々ですね。
インクの匂いって好きなのでいつもそっと嗅いでみるけど (へん?) 、匂いは大差なし。
だけど、紙の質感や大きさは それぞれ違うから、指触りや広げやすさが違う。
香港の新聞だと「おいおい毎日が日本の元旦新聞かい?」と嬉しくなるような枚数と重さ。
エンタメ情報(まっ先に見る) から 経済情報(ほとんど見ない) まで、充実度は高いです。

“ 新聞遊び ” をする時に欠かせない紙面は、 求人 ・ 不動産 ・ 天気 などのページ。
なんのことはない、
「あぁ~この漢字やから、あの意味なんや。」
「この字って何なの?」
「へぇぇ~なるほどねぇ~。漢字ってよく出来てるよねぇ~。」 ・・・etc 。
漢字の勉強をしながら、異国ならではの情報を読み解いて遊びます。
日本人として “ 漢字の国に生まれたこと ” に感謝するひととき。

文字以外だと 【色】 も興味深いです。
地にしている紙そのものの色がいいなぁっていう新聞もあるし、
見出しや小見出しの文字色が素敵だなぁっていう新聞もあるし。
白黒のモノトーンで徹底してる紙面の美しさがあるかと思えば、
色とりどりのカラフルな紙面で 眺めてるだけで楽しくなっちゃう新聞もあって。



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楽しませてくれた新聞紙ですもん、機内でサヨナラするのは忍びない。
そのままお持ち帰りするので、手荷物は増えます。

飛行機に乗ってて手荷物が増えるって・・・まぁ・・・あんまり無いんだろうな。
ふつう、手荷物が増えるとしたら、考えられるのは免税品くらいでしょうか?
搭乗前や機内販売で免税品を買い求めて ほんの少しだけ手荷物が増える方々と同じ。
ウチは免税品の代わりに、読み終えた もとい 遊び終えた新聞紙 が増えるだけのこと。
まさに、自分達用のお土産 というか 免税品(笑)。

お土産って、いろんなタイプがあって いろんな使い方があって いいような?
日常暮らしの中で、ちょっとプレゼントを包んでみたり、
あまりにもお気に入りのページならば額装してみたり。
額装のこと、以前書きましたね。
すっごくダラダラ書いたから、
読み始めて下さった方も途中で呆れて きっと読むのをやめた記事、、、です。

でも、ほんと、
異国の新聞には、文字だけ取り上げても、形だけで惹かれる部分があるような。
表す意味は何も分からない字であっても、単純に 【形】 に魅力を感じて。

民族楽器や陶器を探し歩いていた頃に、
包んでもらったり、その店やホテルで 余分にもらって来たりして、
今でも自宅にとってある アジア各国の新聞たち。
タイ語(ไปยาลน้อย)、ベトナム語(sắc, nặng)、ヒンディー語(भारत की भाषाएँ)、
アラビア語(اللغة العربية)、タミル語(சிங்கப்பூர்)、ハングル語(훈민정음) などなど、
文字の形一つをとっても、異国の新聞は魅力があるなぁと思います。


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ただし、香港発の機内で “ 新聞遊び ” をする時、
タイミングを間違えたり 度が過ぎたりすると、CAさんの手を煩わすことにもなります。
機内食のカートが近付いて来て お肉か魚かを尋ねられる時、
たとえば星島日報で遊んでると広東語で声をかけられちゃう。
台北経由便で中國時報を開いていると台湾華語で声をかけられちゃう。
そういう手間をかけないように気を利かせられなかった時、ウチは2人して固まります。
「 ゴメンネ ワレワレハ ニホンジン 」。。。

遊び道具にも お土産品にもなってくれる、香港発の新聞たち。
「遊びは ほどほどに。 タイミングや場をわきまえて。」
と CAさんから無言で優しく諭されているような時があるので、
ウチの “ 新聞遊び ” は、引き際が肝心なのかもしれません。(笑)

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by hongkonggaffe | 2016-03-29 22:21 | 香港のりもの | Comments(10)

亀ゼリーの食べ方ひとつを いったい何年かけて知るんだ?

世の中の多くの人々が知っている常識を 今でもかなり知らないままの自分。
漢字の読み書きや 時事用語はもちろん、
大好きなはずの飲食物だって 食材や調味料の名前など、
「え?これ、知らんの?」と言われることが多過ぎます。

分からぬことは いつも太太に教わっていますが、
彼女もすっかり呆れてて、最近は「私に尋ねずにパソコンでまず調べなさい」と諭される。
で、調べて知って 「ほほぉ~。」と分かったつもりになって数日経つと、
学んだはずのことが もう頭から飛んでいる。。。



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思い出せないことばかりが増えていって、
“ 常識を知らない ” & “ 学んだはずが じつは飛んでいる ” の困った君。

そんな自分でも、亀ゼリー(龜苓膏)を初めて食べた時のことは、けっこう憶えています。
・・・もっとも、
「亀ゼリーの件は憶えている」 と言ったって、
“ いかに自分が知らずに平気でいたかを知った ” っていうことを憶えてるだけの話で、
知ってた方が良かった肝心な時に 知らずに過ごしてた記憶ばっかり。
思い出せる中身そのもの が ズレてます。



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亀ゼリーって、その成分や作り方を知っちゃうと、ちょっとだけ引きません?
昔、地球の☆き方だったかで初めてこれを知った時「うわわわわぁ」と想像するだけでした。
  【 亀の腹側の甲を干して砕いた粉末に、
   何種類かの生薬を加えて抽出した液体。それを蒸しながら固めたもの。 】
のようなことが書いてあって。

で、
想像だけで終わればそれまでだけど、怖いもの見たさと同じで やっぱり対面したくなって。
ツアーでガイドさんが付きっきりで居てくれた時は、
さすがに亀ゼリーが食べられるお店へは案内されなかったので、
ツアーに参加しなくなった最初の1~2年の中で、初めて対面することになりました。

お店は、許留山。
油麻地の美都餐室すぐ海側の角地にある小さなホテルに滞在している時でした。
そのホテルの これまたすぐ海側に許留山がありまして、
チェックインした翌日だったかに、さっそく一人で向かって。



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赤地に金色の文字が眩しかった許留山。
「待ち望んでいた亀ゼリーを とうとう食べるぞ」 と 念願の入店。
写真とおおまかな原材料しか知らないまま、入ってみました。

現在は、許留山よりも名の知れた店がいくつもあるかと思います。
だけど、当時はやっぱり “ 許留山 = スイーツ専門店 ” としか僕は思っておらず、
そもそも涼茶舖に亀ゼリーがある元々の常識を知らないまま、店内へ突撃したのでした。

なんだか ガラ空きの店内。
今思えば「どうしてあそこに許留山が?」と思うような場所だったけど、
お客が他に居ないおかげで、写真付きメニュー表をじっくりと眺められて。
今ほど種類は多くなかったけれど、マンゴー(芒果)を主体にしたスイーツ類がいくつも。
「うはぁ~、どれも美味しそう~、けど、どれ食べていいか分からんし、やっぱ亀ゼリー。」
で、注文。

「 コレ ニ シマス。 コレ ヒトツ クダサイ 。」 と店員のお姉さんに写真を指差し。
お姉さん、「★○◆*▲◇◎★ー!?」と 何か僕に尋ねているんだけど、まったく分からず。
「コイツ、あかん。」と諦めたお姉さんが去る後ろ姿を
若干の不安とともに見送るしかなかったのかな。
もっとも、この不安っていうのは、
「へ?ちゃんと指さししたよな?亀ゼリーって これ1種類しかないもんな?」
であって、
お姉さんが 「あんた、温かい亀ゼリーなの?それとも 冷たい方なの?どっち?」
って言ってたんだろうなんて、まったく思いもせず。

「亀ゼリーには温冷2種類あって 選べるよ」 と その何年か後に初めて知っただけで、
お初の自分は何も知らないまま店へ突撃してましたから。
もう十分この時点で、知らぬまま無茶をする自分は出てます。・・・常識知らずその①



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で、待つまでもなくお姉さんが持って来て、ゴトンとテーブルに置かれた亀ゼリー。
祝!初ご対面。
はじめましてーっ!! こんにちはーっ!! うわさは聞いておりましたーっ!!

わぁ、けっこうな量なんや。
・・・。
・・・。
あたたかい?
はぁ、あたたかいモノだったんや。 蒸すんやもんな。
・・・。
・・・。
へぇぇぇなるほどぉ・・・臭う?いやぁ、少し臭うか?臭わんか?

・・・で、口にして初めて「最後まで食べれるんか?」と心配になる・・・。

涼茶もそうだけど、温と冷だったら、温の方が風味を強く感じますよね?
そんなことは知るわけもなく、
温か冷かを尋ねて諦めたお姉さんの判断によって運ばれた温かいタイプを頂きました。
「この食感でこの苦みって変」 と抵抗があったような記憶はあります。
身体で(味覚で?)感じた記憶だけは よく憶えてるものなので。
とにかく、「どんなんや?食べてみたい。」 と 念願だった亀ゼリー。
“ 胡麻豆腐やゼリーの類が好き&知らない味の新鮮さ ” で、初体験はメデタシ メデタシ。

その後も、訪港すると2度に1回くらいで亀ゼリーは食べました。
やっぱりね、【念願かなってドキドキ体験した食べ物のひとつ】ですから、
初心に帰るというか、不思議な苦みを思い出したくなると食べたくなるわけで。
こんな気分だけで食べに行くこと自体が ミーハーかも・・・ですね(笑)。
亀ゼリーのちゃんとした効能を知らずして、
解熱・喉の痛み・便秘解消・美肌効果などなど、どれも必要ないのに食べていて。
ん百年の歴史がある中医学に基づいた食べ物を 完全にナメている不遜な自分。。。

そんなことを繰り返すうちに、やっと初めて 「冷たいのもあるんや」 と知り (遅) 、
さらに何年も経った後に、
“ 食べにくければ店にあるシロップをかければ良い ” という情報をどこかで読みました。
「はぁ~そうなんや。シロップかけるのもアリなんや。」・・・常識知らずその②



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もう、あれこれ小出しに書く必要なんて無いのですが、
【シロップがちゃんと置いてあることを知らなかった時の写真には、シロップが写ってる!】
のですね。
自分が撮ったこの写真を見つけた時は、かなりショックでした。

上の写真がそうだけど、
これ、亀ゼリーの右に写ってるのは、シロップ・・・。
並んで写ってるということは、店員さんは ちゃんと横に添えて置いてくれたのだろうし。
さらには、僕はそれをシロップだと知らずにいるのに、なぜか並べたまま写してるし。
これって、いったい何が起こってたんだろう???

・・・許留山のメニュー表を下に敷いて写す準備をしてて、シロップに気付いてないのか?
・・・器にプリントしてある許留山のロゴとレンゲを撮影用にセットしてて気付いてないのか?
・・・亀ゼリーにシロップをかけて食べることもあるなんて、よもや思いもしてないからか?
横に置いてあるのを知らずに写してる自分・・・常識知らず、いや、もう理解不能 その③



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昨年の1月に、本当に久しぶりに許留山に入りました。
旧正月前だったので、春節用のメニューが登場していて、
いろいろ知らずに亀ゼリーを食べてた頃とは まったく違う賑やかなメニューがたくさん。
プラスチックのスプーンだって、明るくて可愛らしいマンゴー色になってて。(お持ち帰り)
マンゴーをメインにした甘~いデザートを食べつつ、苦~い亀ゼリーを思い出してました。

商品の種類も盛り付けかたも 昔と比べれば うんと賑やかになった許留山。
次にチャンスがあれば、久々に亀ゼリーを注文して、初シロップがけにしてみようか。
どこかの涼茶舖でも出来るけど、やっぱり許留山で初シロップしないとね。

店内のどこかに置いてあるシロップを持って来て トロ~リと垂らしたら、
これまた未体験の食べ方で 新鮮かもしれません。(味は想像がつくけど体験はダイジ:笑)
シロップ付きか やっぱりシロップ無しか、自分はどちらに傾くんだろう?



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「知らなかった!」と知った時は、
「あぁ、またこれも常識知らずだったんやね。」 と 軽い驚きがいつも付いてまわります。
でも、どの場合も例外なく
【自分が知らずにいるということを知らずにいる】 わけだから、無敵です。(呆)
だから、軽い驚きってヤツは この先も泉のごとく沸いて来ると思われます。

アイヤ~ ・・・そんな繰り返しが、まだまだたくさんあるに違いない。
知らないままでいることのほうが、シアワセなんだろうな。
呆れられるのは太太一人からで十分なので、知ってもナイショにしておこう。

世間から1歩2歩どころか、数年遅れで やっと当たり前のことを知る。
その繰り返しが、これからも連続するんだろうなぁ。。。

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by hongkonggaffe | 2016-03-25 23:09 | 香港たべもの | Comments(20)

時を越えて 海を越えて 元朗で口ずさむ京都慕情

ここ1週間ほどで、立て続けにお気に入りのTV番組が続きました。

ひとつは、香港もの。
17日(木)には 【 世界入りにくい居酒屋 】 、19日(土)には 【 Good Sun House 】 。
番組でよく紹介される香港ものって どれも似通った内容が多いけど、
今回の2つはそれぞれ少しずつ王道を外れていた部分があったので、面白かったような。
ビギナーさんにも、そうでない方々にも、両方を楽しませる番組作りって難しいでしょうに。



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立て続けに放映された もうひとつのお気に入りは、京都もの です。
【 京都人の密かな愉しみ 】 が、BS2で2時間の拡大版になって放映されました。
13日(日)に1度、そして連続するかのように19日(土)に別内容でもう1度。
再放送を含めても ふだん登場することが少ない番組なので、それだけに貴重品。
放送予定が告知されると、ウチは今か今かと指折り数えて楽しみに待つ番組です。

襞の中に触れてくるような 機微を心地良く感じる、ドキュメンタリーを挟んでのドラマ。
微妙な趣きや物事を巧みに散りばめた、声高な部分が何一つ無い 抑えた作りの番組で。
その内容もさることながら、
観終えた気持ちをさらに満たしてくれるのが、毎回 エンディングで流れる歌なのです。

曲は、 “ 京都慕情 ” 。
これを聴きたいがために 番組全編を欠かさず観る・・・と言ってもいいくらい(笑)。

昔、渚ゆう子が歌った昭和のヒット曲ですね。
それが番組のためにカバーされ、エンディングで歌っているのは 武田カオリという女性。
透明感のある つぶやくような歌声が、絶妙な編曲の伴奏を身にまとって 漂います。
渚ゆう子が歌った京都慕情とは 真逆のような儚さ。



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渚ゆう子が歌ってヒットした京都慕情に初めて出会ったのは、少年の頃でした。
“ 玉置宏のロッテ歌のアルバム ” で 観た&聴いた・・・が最初。
母方の山の実家で遊び呆けてる夏休みだったはず。
皆で食べる日曜日の昼ごはん時に、食卓から離れた隅に置いてあるTVで流れて。
食い意地の張ってる僕が、おかずを持ち上げる箸を止めるほどのインパクトだったのです。

それ以来、この曲に ものすご~く惹かれ続けることになりました。
夏休みが終わった後に 自宅で日曜の昼時にTVをつけてても、
当時のヒット曲だったから、渚ゆう子も何度か出演して京都慕情を歌う場面があったので、
これが流れ始めると 箸を放り出してTVにかじりついてて、叱られてたような。



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日本の典型的な昭和歌謡で、渚ゆう子の歌い方もあって、やや演歌寄りの雰囲気でした。
今楽しみにして毎回聴くのを心待ちにしている “ 武田カオリの京都慕情 ” とは違ってて、
原曲(というか当時の歌い方と伴奏)は、もっと情感たっぷりなものでしたが。。。

メロディーは書き表せられないけど、歌詞は およそこんな内容。

   ♫ あの人の姿なつかしい  たそがれの河原町
     恋は 恋は 弱い女を  どうして泣かせるの
     苦しめないで ああ 責めないで  別れのつらさ知りながら
     あの人の言葉想い出す  夕焼けの高瀬川 ♫

少年時代の小学生男子、この曲に ぞっこんでしたから、
いろんな場面で いつも口ずさんでいたのをハッキリと覚えてます。

土曜の午後に小学校のグランドに集まって草野球をし、駄菓子を食べつつ家に帰る道で。
木曜の夕方に書道教室を終え、墨で黒くなった指先で自転車に乗ってペダルをこぎつつ。
いつもこの場面では京都慕情を口ずさんでたから、
【京都人の密かな愉しみ】を観終える時、そのころの景色や想いが ぶわぁ~っと蘇ります。








まぁ、なんと言うか、
いがぐり頭の小学生がね、ランニングシャツで半ズボンはいて野球グローブ片手に
   ♫ 恋はぁ~恋はぁ~弱い女をぉぉぉ~  ど~して泣かせるのぉぉぉ~ ♫
だの
墨で黒くなった指でハンドルを持って自転車キコキコこぎながら、
   ♫ 苦し~めないでぇ~ あぁ責めないでぇ~ 別れぇ~のつらさ知りながらぁ~ ♫
だのって歌いながら家路につく。
2番に至っては、
   ♫  遠い~日はぁ~二度と~帰らないぃぃぃ~ ♫
のはずだけど、
まだ小学生の男子が 遠い日を懐かしむわけもなく。。。
どんな子供だったのか・・・と思うと、あの頃の自分に会ってみたいような気もします。

こうやって刷り込まれた体験は けっして消えない物ですから、
高校生の時にツェッペリンやD・パープルにハマりながら、渚ゆう子のレコードも買ってる。
さらには、LPを持っててもステレオを買えない学生時代が過ぎ、
一人暮らしを終えて帰郷した後、時代はCDだったので買い直してクルマで流してました。
RCサクセションやS・ワンダーに混じってかけながら仕事先へ通勤してて。
今に至るまで 音の引き出しの中には、ずっと何年もしまってある1曲なんでしょうね。



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元朗の中心部から少し東寄りの場所、軽便鐡路の元朗站すぐ近くに、小さな村があります。
村の北の端には 300年を経てきた二帝廟、南玄関には 500年もの歴史を持つ大王廟。
2つの古廟に守られるようにして残る村でも ちゃんと人の暮らしが営まれているのですが、
香港の他の文物径や客家の村とは違って、住人以外はあまり見かけない一角です。
他の史跡だと 香港人ばかりでなく観光客の行き来もあるけれど、
元朗舊墟と呼ばれるこのエリアでは、すれ違う人は滅多にいなくて。

朽ちたような住居や店舗の屋根から枯れた草が顔を出していたり、
両側を民家に挟まれた路地を静かに歩くと 住人が暮らす気配がかすかに漏れてきたり。
こういうところにいると、空の広さや静けさだけではなく、
ずっと年月を経てきた空気の溜まり場に迷い込んだような気持ちになります。

初めて歩いた時も2度目だった時も、音の無いこの場所で浮かんできたのは 京都慕情。
なぜこれが浮かんで鼻歌にしつつ歩いたのか・・・そんなことは分からないけれど、
幼少体験と似通った何かを感じてのことかもしれません。

音楽が蘇ると、初めて聴いた頃や何度も聴いてた頃の情景が ふわっと出てきますよね。
生きてる時代も今居る国さえも違うのに、なんだか郷愁を感じるようなことが あるような。
小学生の頃に馴染んだ曲が 香港旅行で歩いた小さな村で蘇り、
小さな村で蘇った体験が こうして日本に居て写真を見てる自分に また蘇る。
きっと人それぞれが持つ “ あるある体験 ” だと思いますが、
突然引き出しから出されてきて不意に創られる体験って、おもしろいもんだなぁと感じます。



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そう言えば、この京都慕情、
「おもしろいもんだなぁ」と感じるのは 体験だけじゃなくて、
これが、ベンチャーズが作った曲だということなんです。
そう、日本人ではない、あのエレキギターをテケテケテケテケって鳴らすベンチャーズ。
初めてそれを知った時、「えぇぇーっ!?」と驚いて、よけいにこの1曲が印象付きました。
どうして欧米人に この和のメロディーと歌詞 (?↓ ) が作れるの?
本当に、不思議。

( 手元のレコードとCDとNHKの表記では【 訳詞:林春夫 】と記載、Wikiで見てみたら【 作詞:林春夫 】と記載。
 ・・・ベンチャーズはインストゥルメンタルのバンドだから、やっぱり作詞は林春夫のような気が・・・。)


和のメロディーが異国人によって作られ、海を越え国を越え、日本で受け入れられた事実。
この不思議な事実に比べれば、
元朗の小さな村で口ずさむことなんて、なんでもないことなんだろうなぁ って思います。

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by hongkonggaffe | 2016-03-20 17:43 | 香港ふうけい | Comments(20)

トラムは走る広告塔 ときどき 走る美術品 sanpo

香港島の西端と東端、そして、銅鑼灣からは短距離ながら南へも走るトラム。
里帰りするたびに「そうそう、今はどんなデザインだろう?」と楽しみにするのが、
トラムの車体を覆い尽くすラッピングです。

ずっと以前は、広告なんて何もなかった車体。
車体に広告を載せるアイデアが出た時って、きっと大きな出来事だったんでしょうね。

手元にわずかに残る写真には、
今のように全面ラッピングではなくて、部分的に広告を載せ始めた姿があります。
なんだか、こう、プラモデルにシールを貼ったみたいなぎこちなさ、というか、初々しさ。
それが2枚目の写真 ( ↓ ) のように全面ラッピングと同居する過渡期があって、
現在のように、様々な企業が好んで広告主になり、デザインを競い合うような時代に。



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トラムは走る広告塔。

広告を載せた乗り物だったら、路線バスも 空港バスも ミニバスも タクシーも 浮かびます。
だけど、トラム以外は どれもけっこうな速さで走ることが多いんですよね。

ミニバスやタクシーなんて、あっという間にピューッと走り抜ける。
「あ、どんなプリント?」と見ようとした時には、もうすでに よく見えない場所にいる。

路線バスや空港バスなら車体が大きいぶんだけ広告も目に付くし、
速さもミニバスやタクシーほどじゃない。
でも、
全面を覆うトラムよりは部分的な広告ですから、比べれば今ひとつパンチに欠けます。
パンチって・・・(笑)・・・でもね、広告って「見られてナンボ」「楽しめてナンボ」ですからねぇ。

トラムは 前後の面と左右側面のすべてで見せて(魅せて)くれるし、
バスより停留所までが近いこととスピードが無いぶんだけ、余裕で見ていられます。
広告主の企業によって台数が違うけれど、同じラッピングで複数台走ってることが多いし、
バスよりも限られた短区間で走っている から、
そのぶん、気になったラッピングを目にする確率も上がります。



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流し撮りで 身体を左右に振りながらカメラを向けてる小学生男子、
ブレずに撮れた数少ない写真を見ていると、あることに気付きました。
「あ、写真じゃなくて肉眼でも、きっとこうやって走るトラムを見てるんやろうなぁ。」 と。 ( ↑ )
写真だと流し撮りで撮ったプリントが手元に残るけど、
手元にプリントとして残せない肉眼でも、じつはその瞬間は同じことをしてるんだな・・・と。

路線のいろんな場所で気になるラッピングを見つけた時って、
その場所のトラムの背景がどんなに賑わっていようと どんな色の建物があろうと、
きっと、眼はトラムだけに焦点を当てて追ってるような気がするんです。
カメラを構えた時だけじゃなくて、無意識で肉眼でも流し撮りをしてるんだろうな。
脳内流し撮り。

おもしろいもんですよねぇ。
頭の中では、ちゃ~んと背景全部がブレていて、トラムだけがくっきり見えてるんだろうな。
誰もが きっとそうなっているんだろうと思います。
ふだんの日常生活でも、動く物を眼で追う時って その状態になってるんじゃないかな。



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今回の訪港でも、滞在中に “ お気に入りラッピング ” を決めていました。

そう、「決めていた」っていう感じ。
滞在するたびにその期間中のトラムのラッピングデザインを順位付けするヒマな自分。
どういう基準なのかは自分ながらもよく分からないけど、
銀行系 ・ 金融系 でなければ、順位付けに入ります。
銀行金融系って例外なく地味なので、あの渋さを味わうには まだ至っていません(笑)。

で、今回もっとも気に入っちゃった BEST1 が、こちら。



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目にするたびに、おぉぉぉぉーっ と気になって気になって。
配色もイラストの細やかさも、自分には もう アート作品として目に入りました。
こうなると、トラムは “ 走る広告塔 ” よりも、 “ 走る美術品 ” になるわけで。

美術品らしく、さすが サザビーズ。
もう、このトラムそのものを オークションに出すといいんじゃない?(笑)
シノワズリなデザインは味わい深く、香港にピッタリでした。

細部まで見惚れていると、いくらトラムとはいえ走り去ってしまうので、
見かけることが出来た時に 全力でガン見してる小学生男子。
「うへぇ~。。。すげ~な~。。。」って見させてもらって、続きはまた遭遇した時にね、、、と。

次点として気になってたのが、色で目を引いた2台でした。
タータンチェックのはニューヨークなんだけど、やっぱりイギリスがらみで気になったし、
グリーンラインの方のは、なんだかキリリとクールで鮮烈なところが気になったし。
うん、これ、スイカっぽさも良いね。
スイカ大好きやから。・・・・・・呆。



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そんなこんなでラッピングを楽しんでるものですから、
トラム沿線の歩道を歩いている時は目と頭がフル回転しています。
訪港中に限っては、鉄ちゃんかも(笑)。

素敵な色とデザインのラッピング広告を纏ったトラムたちが行き来する香港島。
でも、
沿線には それぞれ特色の違った街が並んでいるので、
ときどきトラムと一体になって【脳内流し撮り】になってる被写体も登場します。
配達人のおじちゃんやお兄ちゃんが横に並んでいてくれるからこそ、香港トラム。
トラムが走る国は少ないと思うけど、
トラムと、お仕事する方々の姿とが これほどしっくり馴染む国は さらに少ないような?
ラッピングデザインに惹かれると同時に、こういう光景も愛しく思えてしかたがありません。



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どこか行きたい場所があって停留所で待ってると、
待っている時に限って、その行き先の車両がなかなかやって来ないトラム。
そうかと思えば、
行きたい場所行きの車両が1度にドドドドッと数珠つなぎでやって来るトラム。

本当に気まぐれさんですから、
逢いたいラッピングがあるとそれも同じで、
待ってる時や想う時には、なかなか目の前に登場してくれません。
けっこうじらされます。
「まったく、もう、じらすよねぇぇぇぇ。」
なんて思いながら待っていて、やってきた時は特別な瞬間です(笑)。
ただ、
そういう時に限って、
大きなバスが走って来てトラムと自分の間に立ちはだかるんですよね。。。
美術品だから、手が届くようで なかなか届かないのが 良いのかな?

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by hongkonggaffe | 2016-03-16 18:35 | 香港のりもの | Comments(12)

「サジュネン!!」 ぶんの 誇り

自宅で目が覚めると、毎朝 まずは湯を沸かす。
多めに沸かすので、沸騰するまでの間にコーヒー豆を挽く。
ガリガリ挽き終えて プレスの器に粉を入れたタイミングで湯が沸き終わるから、
上から注ぎ 軽くかき混ぜて、残した湯で2個のマグカップを温めておく。

着替えを終えるとちょうど4分ほど経つので、ギューッと押し込んでマグに注ぐ。
部屋の中に香ばしい香りが広がる。
普通の大きさのマグはブラック。
小さなデミタスマグには 牛乳を加えてミルクコーヒー。
香りで頭が起きて、マグカップ2杯でお腹が完全に起きる。

いつだったか、ふと思ったのは、
「湯を沸かし始めるこの時刻って、ちょうど科記のお父さんと同じかな?」ということ。

いつも “ お父さん ” って言うけど、じつは “ おじいちゃん ” かもしれない。
ご家族の大将には間違いないけれど、お父さんかおじいちゃんかは、正しくは分からない。
どっちなんだろうねぇ。



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お父さん(としておこう)も、
毎朝お店のシャッターを開けた後に最初にするのは 湯を沸かすこと。
店の前に届けられてるトマトの重い箱や缶詰を厨房に運んだりするのは 奥さんと娘さん。
店内の掃除とイスや調味料・箸・レンゲなどのセッティングは お兄さん。
お父さんは、外の小さな神様にお供えをした後から、ずっとカウンターの中に入りっぱなし。
そのカウンター内で、まずは隅にある銀色のボイラーで湯を沸かし始める。

僕が自分のために湯を沸かすのと、お父さんが仕事始めに湯を沸かすのとでは、
意味も量も全然違う。
ただ、
それを1日のスタートのルーティンにしてることと時刻だけは、似てる(ような気がする)。



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前回だったか 前々回だったか 忘れてしまったけど、
とある朝、いつも2匹の猫の朝ごはんを作ってあげているMさんに、尋ねたことがある。
朝ごはんを与えてテーブルに戻り一息ついてるMさんに、思いつきで尋ねてみた。
「科記咖啡餐廳って、店を始めて何年になるの?」
まるでご家族のように毎朝お世話をしに来ているMさんだから、知ってると思って。

「何年? さぁ~、何年なのかしら?分からないわ。聞いてみるね。」
いつもの一番奥のテーブルから5~6歩あるいて、
カウンター内のお父さんに広東語で尋ねてくれた。

すると お父さんがMさんの質問を聞くやいなや、すかさず一言。
「サジュネン!!」。
小さな店の中で初めて聞く大きな声。
お湯を沸かす手をとめて、カウンターからぐっと顔を出して叫んでくれた。

僕がMさんに英語で尋ね、Mさんがお父さんに広東語で尋ね、
「サジュネン!!」は Mさんを飛ばして即答で返って来た。

まぁ、たしかに店内には、まだ僕とMさんと 他にご常連の4~5人しかいないけど、
明らかに日本人の僕に向けての大きな声の返答。
30年も商ってきたことよりも、
お父さんが大きな声の日本語で即答したことに驚いちゃった(笑)。
「あの日本人、今日はこの質問してくるはずだ。」なんて思ってなかったはずなのに。。。



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肩をすぼめ、両手を広げながら苦笑いして戻ってくるMさん。
「よく即答できるわね。」 なのか、「日本語で返されちゃったわ。」 なのか、
そんな仕草で歩いてきた。
その苦笑いがステキなので、こっちはどうしたって笑顔になる。
お父さんの「サジュネン!!」 そして Mさんの苦笑い、
Wで嬉しくさせてくれるなんて どんな朝なんだ。

この場所に引っ越してきてから30年なのか、以前の場所も含めての30年なのか。
店が入っているこのマンションの造りからすると、
以前の場所で科記咖啡餐廳を始めてからの トータル30年じゃないかなぁ。
違うかなぁ。

“ お父さん ” なのか “ おじいちゃん ” なのか、
“ いつからの30年 ” なのか、
分からないことばっかりだ。。。

まぁ、分からないままでいいや。
そんなことより、
昼の前後は信じられないくらい お客で混み合う科記。
お父さんの身体の事だけは 気になる。

そういえば、以前シャッターを開けてるお父さんの背後から朝の挨拶をしたことがある。
僕から「早晨(おはようございます)。」と声をかけて返ってきたのが「コニチハ。」だった。
「サジュネン!!」
「コニチハ。」
どっちも 「ン」が省略されてる お父さんの元気な声。
この元気な声のままで いてほしい。



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次回チャンスがあったら、
朝の1杯を飲ませてもらった後、お店を出る時に
お兄さんにだけではなく、お父さんにも「唔該(ごちそうさま)。」と言ってみよう。
もしかして、やっぱり日本語で返してくれるかな?
だとしたら、どんな日本語なんだろう?
ちょっと楽しみ。

お父さんは サジュネンの間、この時刻に湯を沸かし続けてきたんだね。
7時に湯を沸かし始め、出来上がった順にカウンターの上に飲み物を差し出す。
入口から一番遠い奥のセピア色の絵は、ここに来た時の記念の1枚なのだそう。
絵のこの色は、お父さんの「サジュネン!!」の一部のような気がする。

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by hongkonggaffe | 2016-03-10 21:11 | 香港ご商売 | Comments(26)

乗り物で海に近付き 歩いてビーチに立つ

香港へ向かう往路、着陸に備えて機体が少しずつ高度を下げると、まずは船が見えてくる。
ポツポツと見え始めた船に続いて陸地が目に入り、胸の高鳴りがぐっと上がる。
「帰って来たよ。もうすぐそこへ行くよ。」
飛行機から遠かった海に近付いて行く過程って、いつもワクワクする。



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乗り物の中に居る間は、なんだか遠さを感じる海。
だんだん近付いて行って やっと到着し、
目の前いっぱいに広がった時、海のよそよそしさは すっかり消えている。
そういう時って、自分と海の “ 気持ちの距離間 ” が 縮まったように感じる。
この嬉しさは、滞在中に何ヶ所かで味わえる。

たとえば 長洲島で。

中環からフェリー(新渡輪)の普通船(高速船じゃない方)に揺られて40分ほど。
長洲島に向かう間、海面はすぐそこに横たわってるけれど、
壁に遮られているものだから、近くて遠い。

だけど、島に到着後 そのまま東灣路を歩いてTungWanBeach(東灣海灘)に向かうと、
両側を民家や海の家に挟まれた小道から、いきなり目の前にビーチが広がる。
「 ほぅら、そろそろ見えるぞぉ~、 3! 2! 1! ほほぉ~ぃ!!」
突然飛び込んでくる光景に、いつも「うわぁぁぁ~」って思う。



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たとえば 赤柱で。

香港島の北側に集中している街から、南側の赤柱へ路線バスで向かう。
けっこうなスピードで山越えしていると、遠くに海岸線が見えてくる。
何度もカーブを繰り返しながら、少しずつ海へ近付いて行く。
西側から回り込む薄扶林道でも、中央からアプローチする淺水灣道でも、
山の木々に何度も遮られて じらされながら乗って行くと、海は近くに来てくれる。
やっと終点に到着してバスから降りると、赤柱の小さな町。

土産物屋が軒を並べる赤柱大街に向かって歩き 左へ曲がって細い路地に入る。
両側に並ぶお店が消えるまでまっすぐ歩き、観光客が引き返す突き当たりを更に進むと、
右側の木陰越しに小さなビーチが現れる。
引き返した人々は逆方向の赤柱廣場方面へ行きがちなので、
人影の無い 寄せる波の音だけが聞こえる 隠れ家のような秘密のビーチ。



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たとえば 石澳で。

筲箕灣のバスターミナルから 9番の始発バスに乗ると、
東から回り込む石澳道をくねくね走って山越えをし、小さくて静かな町 石澳に到着する。
ひなびたバス停で降りて、こっちにもそっちにも寝そべってる猫達に挨拶しながら歩く。
ゆるやかな坂道を上がりきると いきなり目の前に海が現れる。
視界いっぱいに広がる海は、遠洋まで見通すことが出来る。

突き当たりを左に歩けば、波が岩に激しくぶつかる荒々しい海岸が続く。
反対方向の右へ歩けば、のんびり過ごす人々が居る広いビーチが迎えてくれる。
ゆるく弧を描くような砂浜で、裸足になって歩きたくなる。



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どのビーチも、
乗り物の中から遠くに見えていたものが、わずかな時間で自分の足元に来てくれる。
街 から 町 へ。
コンクリートの街 から ビーチのある町 へ。
街と海とが隣り合っている香港だから、
エネルギッシュな街の空気から少しだけ離れたくなった時、海はいつでも迎えてくれる。

青空が広がる晴天の日は、自然を求めてやって来る香港の人々で混む。
だから、
曇った日や小雨の日だと、ビーチのある小さな町で 思う存分深呼吸できる。
じつは、晴れ渡った日以上に 海は「ようこそ!」と両手を広げて迎えてくれる。


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by hongkonggaffe | 2016-03-01 13:55 | 香港ふうけい | Comments(14)


「暮らすように滞在していたい」 と思いながら里帰りする香港の日々。


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